素材の背景を知るとデザインが変わる:江戸の夏野菜「茄子」とキノコの意外な関係

和風デザインのモチーフとして人気の高い「夏野菜」。
特に茄子は、江戸時代から現代まで長く愛されてきた定番の旬野菜です。
しかし、江戸の農家が茄子を育てる際に、あるキノコが根元によく生えていたことをご存じでしょうか。
そのキノコの名は馬糞菌(ばふんきん)。
名前のインパクトもさることながら、茄子との関係には江戸の農業事情が色濃く反映されています。
この記事では、江戸の夏野菜「茄子」と馬糞菌の意外なつながりを、当時の資料をもとにご紹介します。
デザインに使う素材の背景を知ることで、作品に深みを与えるヒントになれば幸いです。
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江戸の夏野菜「茄子」はなぜ人気だったのか
茄子は江戸時代の夏野菜の中でも特に重要な存在。
江戸近郊では多くの農家が茄子を栽培し、初物の茄子は高値で取引されるほどの人気でした。
- 用途が広く、料理に使いやすい
- 夏の食卓に欠かせない野菜
- 「一富士二鷹三茄子」に象徴される縁起の良さ
- 江戸の市場で安定した需要があった
こうした背景から、農家はより良い茄子を育てるために、肥料にも強いこだわりを持っていました。
茄子の根元に「馬糞菌」が生えていた理由
当時の資料には、茄子の根元で馬糞菌がよく見られたという記述があります。
まずは、その元資料をご覧ください。

記述の書き起こし
馬糞菌(マクソタケ)
多馬ノ屎ノ枯タルヨリ 生ズ故ニ茄子ノ苗ノ中ニ 多ク生ズ後黒色ト ナリテ落ツ
現代語訳
馬糞菌(まくそたけ)
多くは、馬の糞が乾燥して古くなった場所から発生する。 したがって茄子(なす)の苗を植えた畑の中に数多くみられる。 発生した当初は白く、時間が経つと黒色に変化し、最後は溶けるように崩れ落ちる。
解説
ここでいう馬糞菌は、おそらく現代で言うササクレヒトヨタケやヒトヨタケの仲間と思われますが、
当時はマクソタケと呼ばれて親しまれて(?)いたようですね。
さて、資料には「茄子の根元にこの菌がよく生える」といった趣旨の記述があります。
しかし、これは「茄子に馬が直接おしっこをしていた」という意味ではありません。
実際には、次のような背景があります。
- 江戸の農家は、茄子を良く育てるために堆肥を多く使っていた
- その堆肥には、馬の糞尿を含む厩肥(きゅうひ)が一般的に使われていた
- 馬糞菌は、馬の糞尿を含む有機物が分解される環境でよく発生する
- そのため、茄子の根元で馬糞菌が観察されることが多かったと考えられる
つまり、
「茄子の根元に馬糞菌が生える」=「茄子が人気で、農家が堆肥をたっぷり使っていた証拠」
というわけです。
ちなみにササクレヒトヨタケは、現代では「コプリーヌ」として食用にもなる人気のキノコだそうですよ。
素材の背景を知ると、デザインの説得力が変わる
このような背景を知ると、茄子や馬糞菌の素材を使うときに、ただの“きのこモチーフ”ではなく、
江戸の農業・生活文化まで含んだストーリー性のある素材として扱えるようになります。
特に次のようなデザインでは、背景知識があるモチーフは強い効果を発揮します。
- 和風パッケージ
- 江戸文化を扱う冊子
- 伝統食材の紹介記事
- 博物図風のアートワーク
- 夏の季節感を出したいデザイン
素材の背景を知っていると、
「なぜこのモチーフを選んだのか」という説得力が作品に宿ります。
今回の素材について
この記事で紹介した馬糞菌の素材は他素材同様、
全商用利用OK・クレジット不要で、高解像度透過PNG・ベクター形式。
茄子や夏野菜の素材と組み合わせることで、江戸の農業文化を感じさせる独特の世界観を表現できます。
馬糞菌以外にも150種以上のキノコ素材をご用意しています(5月中旬まで順次公開)ので、ぜひお気に入りのキノコを見つけてくださいね。
参考文献
梅園毛利元寿<毛利梅園>//[著]『梅園菌譜』,写,天保7(1836)序. 国立国会図書館デジタルコレクション
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